パンに入れる砂糖の量はお菓子と比較して断然少ないかと思います。
例えば、マドレーヌを作ろうと思ったら砂糖と小麦粉がほぼ同量の配合ですが、
パンなら多くても小麦粉量に対してせいぜい20~25%ぐらいではないでしょうか。
できることなら砂糖はなるべく少なく、、、
そんな風に考えるのはきっと私だけではないと思います。
パンは小麦粉・酵母・塩・水があればできます。
では、なぜ甘くなくても良いようなパンにも砂糖を加えることがあるのでしょうか。
甘みをつけるだけではないパン作りにおける砂糖の役割をご紹介します。
砂糖の役割1:パンに甘みをもたらす
言わずと知れた役割ですね。
ちなみに私はこんなイメージで砂糖の配合量を考えています。
・フランスパン(バゲットなど)・・・0~2%
・食パン・・・4~6%
・甘めの生地にしたいパン・・・7~10%
・菓子パン・・・10%~
砂糖の役割2:酵母(イースト)の栄養源になる
砂糖は二糖類の「ショ糖」ですが、酵母(イースト)に含まれる酵素がショ糖を単糖類のブドウ糖と果糖に分解します。
酵母はこのブドウ糖と果糖を栄養源(餌)にして発酵を行います。
この発酵によりアルコールと炭酸ガスが発生し、アルコールはパンに香りや風味をつけ、炭酸ガスがパン生地を膨らませるのです。
砂糖をまったく入れない生地では、イーストは小麦粉のデンプンを単糖類のブドウ糖に分解して、それを栄養源にするので、発酵には時間がかかります。
砂糖は入れなくてもパンはできるのですが、家庭で短時間(2時間半~3時間)で作りたいようなパンには砂糖は必要なものになりますね。
砂糖の役割3:パンをしっとりと保水性を高める
忘れてはいけないのが砂糖はパンをしっとりさせる保水効果があるということです。
砂糖そのものが保水性(一度抱え込んだ水を離さない)が高いため、焼成のときにも水分を保持でき、パンがしっとりと焼きあがるのです。
パンは焼きあがったら「老化」といって、かたくなっていきます。
砂糖の保水性はこの老化を遅らせる効果もあります。
砂糖の役割4:焼き色をよくする
砂糖は火を入れると茶色のカラメルになりますよね(=カラメル化)。
パンに入れた砂糖も焼くとカラメル化し、パンにこんがりと良い焼き色をつけることができます。
砂糖が入らないフランスパンなどは高い温度で焼かないとなかなか焼き色がつかない理由はこんなところにあります。
パン焼きに向いている砂糖とは?
一般的にはパンにはグラニュー糖を使うと思います。
でも、正直なところ少ない量ならどの砂糖を使おうとあまり味には影響がないような・・・(^_^;)
ちなみに私は普段からパルシステムの「花見糖」という砂糖を使っているので、パンにもこの砂糖を入れています。
どんな砂糖かというと、
さとうきびの搾り汁を濃縮過熱し、不純物を取り除いて固めたものが黒糖、黒砂糖。
そこから精製して糖蜜を遠心分離で取り去ったものが白砂糖ですが、
「花見糖」の場合は精製度を抑え、原料そのものの香り・色が残っています。
ちなみに三温糖と色みが似ていますが、三温糖の褐色はおもに精製過程での加熱(カラメル化)によるもので、原料糖の色を残した花見糖とは内容が違います。
レッスンでは花見糖を含めた数種類の砂糖の味比べができますので、ご希望の方はおっしゃってくださいね。
結論から言ますと、ご自分の好きな砂糖をパンに使えばいいと思います!
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パン作りにおける砂糖の効果は以上となります。
砂糖の甘みをつける以外の効果を考えると、単に砂糖の量を減らせばいいというわけでもないというのがわかりますね。
ちなみにハード系のパンにも1~2%の砂糖を入れると色付きもよく、食べやすいパンに焼きあがるのでオススメです。