パン生地がべたつくと、手や作業台にくっついて生地が荒れて丸めや成形がやりにくくなることがありますね。
それを解消するためにふったりつけたりする粉のことを「打ち粉」または「手粉」といいます。
打ち粉はできるだけ使わない方がよい、という声も耳にしますが、そんなことはありません。ベタベタした生地にはやはり適量の打ち粉を使った方が丸めも成形もうまくいきます。
何気なくふっている打ち粉かとは思いますが、改めて今回はその打ち粉について書いてみようと思います。
打ち粉に使用する粉
打ち粉は基本的には強力粉、もしくは生地に使用している粉と同じものを使います。
なぜ打ち粉には強力粉を使用するのでしょう。
それは強力粉の粒度が粗いためにサラサラしているからです。
小麦粉の粒度の違い
薄力粉のもとになる小麦は軟質小麦、強力粉のもとになるのは硬質小麦です。
軟質小麦と硬質小麦の違いは小麦の外殻と胚乳部分の硬さの違いによるものだそうです。
軟質小麦は挽いたとき砕けやすいため、粉一粒の大きさ(=粒度)は細かく小さくなり、硬質小麦は同じ機械・同じ圧力で砕いても、粒度は粗くなります。
強力粉は粒度が粗い分だけサラサラとしています。
逆に薄力粉は粒度が細かいので手触りもしっとりと感じます。
また、薄力粉の方が吸湿性も高くダマになりやすかったり、パン生地に吸着しやすいので打ち粉(手粉)には不向き、というわけです。
付け過ぎには注意!
作業性がよくなる打ち粉(手粉)ですが、付け過ぎには注意です。
分量外の粉を使うわけですから、必要最低限にしなくてはなりませんね。
うまい付け方というか、付け過ぎないようにするために、私は粉を作業台の端のほうに出し、そこにパン生地を軽く当て、余分な粉をポンポンとはたくようにしています。
生地に粉を直接ふるよりも、結局は薄くつきます。
打ち粉(手粉)の使い方
打ち粉は工程によって作業台のどこにふるうかも変わってきます。
見るからにベタベタしそうな生地なら、一次発酵が終わった生地を出す場所に軽く粉を敷きます。
プロの方は片手でパッパッと粉を広げるのですが、これが意外と難しい(^_^;)
ですので、パッパッと広げられないなら(私も苦手です)生地を出す前に表面に粉をふってしまえばいいと思います。
そのときには茶こしや網のついたこんな道具(↓)が役に立ちます。
丸めるときは作業台の端に粉を出して生地につけます。
注意したいのが、丸める場所には粉を広げないことです。
粉があると生地が滑ってしまい、うまく丸められなくなるからです。
麺棒を使って生地をのばすとき、例えば食パンを俵型に成形するときや折込生地をのばすときは生地の下に粉を広げます。
粉があると生地が滑りやすいので麺棒を当てている面だけでなく、裏側も作業台にくっついてしまうことなくよく伸びるのです。
おまけ
小麦粉の粒度のはなしに戻りますが、粒度の粗い強力粉は揚げ物をするときや、魚や肉を焼くときに付ける粉にも向いています。
というか、ぜひ強力粉を使ってみてください。
さらっと付くので余分について重たい衣にならずにすみますよ!
以上ですが、この記事がみなさまのお役に立てればうれしいです^^