クグロフ~フランス・アルザス地方発酵菓子~

クリスマスシーズンを目前に人気が急上昇するお菓子といえば、最近ではシュトーレンでしょうか。

でも!
私の教室はあえて違うお菓子をチョイス!
今回はコースレッスンメニューのひとつ「クグロフ」をご紹介します。

クグロフとマリー・アントワネット

「クグロフ」はフランス東部のアルザス地方に伝わる発酵菓子です。
レーズンやオレンジピールなどのドライフルーツをふんだんに使った贅沢な生地を「クグロフ型」に入れて焼き上げます。
かつてはビール酵母で生地を発酵させて作られていたとか。

クグロフ型は本来は陶器でできていて、これを使って焼くとゆっくりと熱が伝わるからふんわりと焼けるそうです。

ネットでも購入できますので、ご興味あれば画像をクリックしてくださいね。

さて、クグロフはかつてウィーンからフランス王妃として迎えられたマリー・アントワネットに愛されたお菓子と言い伝えられています。
当時、彼女の大好物としてヨーロッパで大流行したそうです。

さて、「マリー・アントワネット」と「お菓子」、といえばこんな台詞が有名ですね。

「パンがなければ、お菓子を食べればいいのに」

フランス革命前、困窮した民衆に対してマリー・アントワネットが言ったと伝えられています。

「お菓子」というのは、正確にはブリオッシュのことを指します。

「パンがなければ、お菓子を食べればいいのに」

というフレーズはフランス語で

”Qu’ils mangent de la brioche!”

brioche=ブリオッシュ」という言葉が含まれていますので、ケーキなどを表す「ガトー(=gateaux)」ではなかったようです。

ブリオッシュは卵とバターをふんだんに使った発酵菓子なので小麦粉と水でできたパンも食べられない貧しい民衆には手が出るはずもなかったと思いますが・・・

最近ではこの説を否定するものもあり、マリー・アントワネットの台詞ではないとも。
本当のところはよくわからないみたいですね。

話はそれましたが、マリー・アントワネットが愛したお菓子である「クグロフ」は、
当時のお菓子がブリオッシュを指していたことを考えれば、
クグロフ型にフルーツを練りこんだブリオッシュ生地を入れて焼き上げた発酵菓子が本来のものなのだろうと考えられます。

いろいろなクグロフ

ブリオッシュの生地というと、バターをベーキングパーセントで40%~50%ぐらい入れますが、これだけの量のバターを生地に練りこむのは至難の業。
温度管理などにかなり気を配らないとなりません。さらに卵黄もたっぷり入れるからさらに扱い辛いです。

そこで私は家庭でも作りやすい配合でクグロフのレシピを作っています。
ふわっとしたものから、しっとりやわらかなものまでいろいろあります。

というのも、私、クグロフ型が好きなんです。

王冠みたいな形で華やかなお菓子(パン)に焼けるし、多少成形がうまくいかなくても型に入れてしまうから焼き上がりがきれい!

そんなクグロフ好きの私がレッスンが作る自慢のクグロフたちをご紹介します!

クグロフ

私が作るクグロフの中で一番オーソドックスなタイプかと思います。

ふわっとしていて、バターも卵黄も多くてリッチな配合。ブリオッシュほどではありませんが・・・

中にはレーズンとオレンジピールを練りこみます。

こちらはインスタントドライイーストで作っています。
数時間で作るからこそのふわっと感が楽しめるクグロフです。

ホシノ天然酵母のクグロフ

これはドライフルーツがたっぷり入ったフルーツクグロフ。

上のオーソドックスなクグロフと同じように見えるかもしれませんが、
プルーンピューレを使いしっとりやわらかな口当たりに仕上げているのがこのクグロフの特徴です

ドライフルーツはお酒に漬けこみますので、香り高く大人のおやつにもぴったりかと思います^^

こちらのクグロフはホシノ天然酵母のコースレッスンのメニューです。
毎年12月と6月にレッスンします。

レモンティ・クグロフ

紅茶の葉っぱを生地に直接練り込みます。
ホシノ天然酵母でゆっくりと発酵させるので、紅茶の香りがパン生地に移ります。

どうやってレモンティー風味にするのかはひみつです♪

冷めたらアイシングをたっぷりかけておしゃれにおめかし。トップにはレモンの皮のすりおろしをトッピング。

とってもかわいいので、プレゼントにも喜ばれそうです^^

コーヒークグロフ

コーヒー風味のほろ苦いクグロフです。
インスタントドライイーストで作るふわっとしたクグロフです。

ものすご~~くやわらかくてべとつく生地なので少し難しいですが、機械ごね&クグロフ型に入れるおかげでどなたでもおいしく作れます。

レッスンではマスカルポーネ入りの生クリームを添えてお召し上がりいただきましたね。

とっても人気のレッスンでしたので、機会があればまたレッスンしたいと思います。

抹茶クグロフ

紅茶、コーヒーに続き、抹茶バージョンも。

抹茶生地をホシノ天然酵母でゆっくり発酵させて作ります。

型に入れる前に大納言の甘納豆を巻き込み、和テイストに。

クグロフ・サレ

最後にご紹介するのは「クグロフ・サレ」です。

「サレ」は「塩味の」という意味。

クグロフといえば甘い発酵菓子ですが、これはバターと卵を使った風味豊かな生地にオリーブ、ドライトマト、チーズを練りこんだしょっぱいクグロフです。

ワインのお供にもぴったり^^

これはインスタントドライイーストで作りますが、ホシノ天然酵母バージョンもそのうち・・・!

パン教室で使うクグロフ型

私のレッスンで使っているクグロフ型をご紹介します。
同じものですが、売り切れの場合があるので2店舗掲載しておきます。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ブラック クグロフ型 小 シリコン加工│空焼き 不要 black
価格:2090円(税込、送料別) (2019/11/21時点)

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

Black クグロフ型小
価格:2093円(税込、送料別) (2019/11/21時点)

粉量120~150gの小ぶりなサイズ感がちょうどよく、2つ揃えておくと自分用とプレゼント用を同時に焼くことができます。

ところで、この型ですが、職人さんが引退されたため、今出回っているものが売れたらもう販売されないそうです。(2019年11月時点の話です)

ですので、お買い求めになる場合は早い方がよさそうですよ。
とはいえ、違う型でもサイズを測ればちょうどよい分量に計算することは可能です^^

今回はクグロフについてたくさん紹介しましたね。
クリスマスだけでなく、オールシーズン楽しめる発酵菓子だと思いますので、ぜひみなさまもお作りになってくださいね。