【ケトリング】ベーグルを焼く前にゆでるのはなぜ?

「ベーグル」って作ったことありますか?

私のパン教室では、対面でもオンラインでも、レッスンメニューとして取り入れています。

「ベーグルってこんなに美味しいんですね!」

という感想を何人もの方からいただいている人気パンです!

ところで、このベーグル、作り方(工程)が普通のパンとは異なります。

二次発酵(仕上げ発酵)が終わって、通常ならすぐにオーブンに入れるのですが、
ベーグルは焼く前に静かに沸騰しているお湯に入れて「ゆでる」工程が入ります。

この「ゆでる」工程を「ケトリング」といいます。

ベーグルはなぜゆでるの?

ベーグルの特徴はなんといってもあのムギュッとした食感ではないでしょうか。

一次発酵をとらないベーグル、仕上げ発酵をとらないベーグル。

作り方はさまざまですが、焼く前にベーグルは必ずゆでます。(=ケトリング)

ゆでること(ケトリング)により、パン生地のでんぷんが糊化してかたまります。

すると、オーブンに入れて焼いたときに生地が大きく膨らもうとしても、表面がかたまっているため、それ以上はあまり大きくなりません。

こうしてベーグルのムギュッとした食感が生まれるワケです。

ケトリングにはもうひとつ役割があります。

糊化した生地の表面を焼くとツヤが出ます。

ベーグルがツヤツヤしているのはケトリングをしているからなんですね!

ベーグルをゆでるときに入れる糖分

ところで、ベーグルをゆでるときに、砂糖やモラセスといった糖分をお湯に入れます。
そのほか、はちみつやモルトシロップも使われますね。ちなみに私は一番身近な砂糖を使っています。

このような糖分を入れる理由は、色づきをよくするためです。

パン生地が茶色に色づくとき、「カラメル反応」と「メイラード反応」がおこるのですが、
糖が使われるのが「カラメル反応」です。
ゆでるときに入れた糖分がベーグルの表面にのこるため、焼いたときに濃い焼き色が付くのです

糖分(砂糖など)を入れないでケトリングすると・・・

パン教室のレッスンで、ベーグル以外でもケトリングするパンがあります。

それは「プレッツェル」。

プレッツェルは本来の作り方では苛性ソーダを水に溶いて、その水に浸してから焼くので、ゆでることはしないのですが、家庭では劇薬である苛性ソーダを用いる代わりに重曹で代用することが多いです。

重曹を使うときは、お湯に重曹を溶かし、ベーグル同様にパン生地(プレッツェル生地)をゆでてから焼きます。

先日、レッスンの残り生地でプレッツェルを作ったとき、重曹を入れずにケトリングをしてみました

プレッツェルの生地には砂糖をほとんど入れないので、ベーグルとの単純な比較にはならないのですが、
色づきはとても薄かったです


やはり糖分の役割は大きいみたいですね。

ケトリングの温度や注意点

ここまで読んだら、ベーグルを作ってみたくなりますよね!

ケトリングの方法を簡単にご説明したいと思います。

ケトリングの手順

1.大きな鍋またはフライパンに湯を沸かします。

直径はできるだけ大きい方が一度にゆでられる個数が多くなるので良いと思います。

2.お湯が沸騰したら砂糖(またはほかの糖分)を入れます。

このとき、オンラインレッスンでみなさん気にされていたのが温度。

「沸騰していたらいけないんですよね?何度で火を弱めますか?」と。

確かに温度は高すぎてはいけないのですが、とにかくまずは沸騰させてください。それから火を弱めます。

温度は大体85~95℃くらいに調節しますが、わざわざ温度を計る必要はありません。
火を弱め、ブクブク沸騰しない程度、沸々と小さく気泡が出る程度になればOKです

始めからその温度を狙って低めの温度になってしまう方が問題だと思います。

温度が低すぎると十分に糊化がされず、ツヤが出ないということにつながります。

逆に高すぎても表面が荒れてしまうし、膨らむ前に生地の中までゆであがってしまいます。

でも、普通に沸騰させてから火を弱めればそんなに心配しないでも大丈夫!

3.ベーグル生地を入れます

生地のとじ目を上、表を下にしてゆでます。大体30~40秒ぐらい。最初に入れた生地から順番に返します。

それからまた30秒ぐらい。フライ返しなど水が切れるもので鍋から引き揚げ、天板に並べてオーブンで焼きます。

 

ベーグルのケトリングについては以上ですが、ご参考になればうれしいです♡