【副材料で変化を付ける!】自分好みにパンレシピをアレンジ!

レシピ本やレシピサイトを参考にパンを作るとき、
「なんでこのパンには卵が入っているのに、これには入っていないのかな?」
というような疑問を持ったこと、一度ぐらいはありませんか?
または、作ってみたけど、なんとなく思っていたパンと違った、、、なんてことも。そんなとき、自分でそのレシピをアレンジできたらいいですよね。

以前、「水分量」に着目して、パンレシピをアレンジする方法をお伝えしました。
>>【水分量に着目!】自分好みにパンレシピをアレンジ!

この記事がとても好評でしたので、今回は「副材料」でパンに変化を付ける方法をご紹介いたします。

パンの「基礎材料」と「副材料」

パンの基礎材料というのは「小麦粉」「酵母」「塩」「水」ですね。

一方、「糖類」「乳製品」「油脂」「卵」などは「副材料」になります。

基礎材料に副材料を加えることで、パンはシンプルなものからより甘く、よりやわらかく、
そしてより風味豊かでリッチな味わいに変わります。

シンプルなハードパンには必要のない副材料ですが、
あなたがもし、ふっくらやわらかくて甘い菓子パンや、
ふわっとした生地の総菜パンを作りたいのであれば、副材料はある程度は必要になってくるかと思います。

たとえば、菓子パンの代表「あんぱん」ひとつとっても、副材料を入れないシンプルな生地で平焼きにするタイプもあれば、
口溶けの良い甘い生地であんこを包むタイプもあります。

後者のパンを作るなら、副材料が必要になりますね。

総菜パンも同じです。
シンプルな生地でベーコンやウィンナーを包んでパリっと焼き上げるものもあれば、
副材料を加えた柔らかい生地でベーコンやウィンナーを巻いて、仕上げには卵などで照りを付けるタイプもあります。

「あんぱん」や「ウィンナーロール」など、それぞれパンの名前はありますが、配合が異なれば同じ名前のパンでもまったく違うパンになります。
だから、パンのレシピを作っていくときは、パンの名前にこだわることなく、作りたいパンをイメージし、それ近づけるために材料を決め、足し算・引き算しながらあなた好みのパンに仕上げていくことになります。

ところで最近、なんと5種類のパンを1回のレッスンでご紹介しました^^

・あんぱん
・シナモンロール
・焼きカレーパン
・ちくわパン
・ハムチーズロール


5種類といっても、「菓子パン生地」と「惣菜パン生地」の2種類から、具材と成型を変えてアレンジしていきます。

両方とも副材料を加えたソフトなパン生地です。

ひとつの生地で5種類を作ってもよいかもしれないのですが、
同じような材料でも、配合によって変化を付ける方法をご紹介したく、この2種類にしました。
今回は菓子パン生地の配合をどのように私が決めたのか、その過程を書いてみたいと思います。
ご参考になればうれしいです^^

菓子パン生地の配合ができるまで

1.パンをイメージする

レッスンでは「あんぱん」と「シナモンロール」を作ろうと決めていました。両方のパンに合うようにするなら、甘くて時間が経ってもやわらかいパン生地ががいいな、とイメージしました。

2.「甘さ」について考える

普段、私はあまり砂糖をごく控えめにし、ホシノ天然酵母でゆっくり発酵させるときに熟成される小麦の甘みに頼りますが、今回は砂糖をいつもより多くし、甘さを強くしたいと思いました。

では、どのぐらいの量の砂糖を入れれば「甘く」なるのでしょう。

私の感覚ですが、ベーキングパーセントで3~4%ならほんのり甘くなります。

8~10%になると結構甘いです。

それ以上になるとお菓子とまでは言いませんが、甘みがかなり強くなります。

いつも迷うのは甘みの強さと、砂糖を摂取したいかどうかという気持ち(=健康とのバランス)。

甘いパンにしたいと思っても、その反面、私はあまり砂糖を摂取したいと思わないので、「甘くておいしいね」と思ってもらえるギリギリの量を探ります。

今回の場合でしたら、あんこの甘さやシナモンシュガーの甘さも考慮しながら「ギリギリ」を見つけます。

3.パン生地の「やわらかさ」を実現する

次はやわらかい食感

前に、「柔らかくするなら、水を増やす」という方法をご紹介しましたが、
今回は成型のしやすさを考え、やわらかさはバターを入れて実現することにしました。

バターを5~6%入れるのと、8%以上入れるのでは、結構印象が変わります。

あんぱんだけのための生地ならバターは少なめでもいいかと思ったのですが、今回はシナモンロールにもアレンジしたいので、お菓子感をアップさせるためにも8%使用することにしました。
でも、油脂はできるだけ控えたいからギリギリのラインです。
もっと控えることもできますが、私のイメージするパンだとこれがギリギリ。

パン生地の食感を考えるときにもうひとつ大事なのが、小麦粉選びです。
歯切れを良くしたいのか、ボリュームと引きの強いパンにしたいのか、など。それによって強力粉なのか、準強力粉なのか、薄力粉を混ぜるのか、などが決まってきます。

4.卵の有無を検討

基本的に面倒くさがりの私は、副材料を計量するのすら億劫なので、できれば卵は入れたくないんです(;^_^A

だって、卵を割り入れてとくための器(ボール)、それとは別に計量用の器が必要だし、ちょっとだけ余ったりするとこれまたやっかい。
だから、最初は入れないで作ろうと思ったんです。

でも、卵無しだと、なんだかコクがでませんでした。

卵の役割というのは、基本的には以下が挙げられます。

・卵風味でパンにコクを出す
・色付け(黄色っぽいパンはおいしそうに見える!)
・パン生地のボリュームアップ
・なめらかな食感の実現
・生地の老化防止

卵を入れなかったとしても、色なんかつかなくてもいいし、ボリュームアップならバターだけでも十分なのでは、と最初は考えました。
でも、試作してみるとイメージしていたものに何かが足りない。
そう、コクがないんです。卵のコクがイメージに近づけるためには必要だったんです。
そして、入れるなら卵黄。卵白が入ると生地が硬くなってしまうので。

いろいろと検討した結果、卵黄は入れることに決めました。

分量はコクが感じられる最小限を求めて試作します。

5.牛乳(乳製品)の有無を検討

牛乳(乳製品)の役割はなんといってもミルキーな風味ですね。
やはり、菓子パンにするならこれは入れたいと思い、加えることにしました。

6.最後は生地の硬さを水分で調整

作りたいパンのイメージから副材料を材料を決め、それと同時に小麦粉も検討しました。そして、最後に硬さ調整で水の量を計算します。


このようにして、私はレシピの配合を決めていっています。

レッスンではこの菓子パンの生地から総菜パンの生地へアレンジした過程もお伝えしました。

ちょっとマニアックな内容だったかもしれませんが、ベテラン生徒さん向けでしたので、
ご自分でレシピを変換するのに参考になればいいな、と思っています^^

レシピの材料は「入れている理由」を知ると、そこからご自分なりのアレンジができるようになります。

自分好みのパンを作りたいとお思いでしたら、材料の役割と基礎的な理論を知っておくと良いかと思います。

教室では、習ったパンを作れるようになったその先に、自分好みにレシピをアレンジする力がついていますように、という願いを込めてレッスンしています^^