寒い季節になり、教室ではバターを折り込んだ生地で「ボーヴォロ」のレッスンが始まりました。
ボーヴォロはイタリアのパンで、「螺旋」とか「カタツムリ」という意味があるそうです。
ところで、折り込み生地といえば、とても時間がかかるイメージがあるかと思います。バターを生地で包んで、伸ばして、たたんで、休ませて、また伸ばして・・・
これを3回ぐらい繰り返します。
この時間のかかる工程ですが、あるとき、うっかり「丸め」の作業を飛ばしてしまいました。
すると、伸ばす作業がとても簡単で、かなり時短で作業ができたのです!!
今回改めて、「何故丸めるのか」「丸めるとどうなるのか」がよく分かりましたので、そのことについて書いてみたいと思います。
パン生地を丸めるのはなぜ?
パン作りの工程で、一次発酵させた生地を分割した後、生地を「丸め」という作業がほぼ必ず入ります。
なぜ丸めるかといえば、
・分割後の不揃いな形の生地だとうまく成型できない
・発酵でゆるんだ生地の表面を張らせることで、生地に弾力を持たせる
・成型後のパン生地の表面をきれいに整えるため
などの理由が挙げられます。
ただ、いつも「丸め」とは奥深いなぁと感じるのですが、私には私のクセ(強さ)があり、生徒さんには生徒さんのクセがあります。
そうすると、ベンチタイム後の生地の状態がそれぞれ異なるのです。
また、パンによって丸め方や強さを変える必要もあります。
正直、とても繊細な作業だと思っています。
丸めるとパン生地はどうなる?
さて、今回注目したいのは、丸めた後の生地の弾力です。
パン生地は丸めることで弾力を持ち、生地は引き締まり、伸びにくくなる性質があります。
みなさんもピザ生地がなかなか伸びない、という経験をしたことはありませんか?
この伸びにくくなった生地が緩むまで休ませるのが「ベンチタイム」ですね。
丸めたあとに大きく伸ばすような成型をするパンであれば、ベンチタイムは少々長めにとるか、きつく丸めないことがポイントになります。
例えば、ピザ生地。
丸めたあとに薄くのばすのだから、ベンチタイムは相当長くとる必要があります。
私の場合、ホシノ天然酵母で作るのでベンチタイムで発酵がどんどん進むという可能性はあまりありませんから、40~50分は休ませます。
そうすると、生地を手で持ち上げるだけでするすると伸ばすことができます。
インスタントドライイーストを使って短時間で仕上げたいなら、生地をこねた後すぐに分割・丸めをします。
天板に布巾を敷き、その上に丸めた生地を並べ、そのまま一次発酵をさせます。
発酵後、丸めなおす必要はなく、そのままのばせばとっても簡単に伸ばすことができるのです。
こどもパン教室では、シナモンロールやアップルロールのレッスンでは丸める作業は省きます。
それぞれが作った生地は分割する必要なないので、発酵させていた保存容器から出したら、すぐに伸ばします。
丸めないから生地がゆるゆるで、麺棒を使わなくても簡単に四角に伸ばせるのです。
折り込み生地を作るとき、生地は丸める?
先日は、こどもパン教室で丸めないレッスンをした後すぐ次のレッスンでボーヴォロの折り込み生地を作ったのですが、こどもパン教室のクセでうっかり「丸め」を省いてバターをすぐに包んでしまったのです。
※一次発酵後に分割はしていません
すると、生地を包んだ後、いつもは伸ばすのに苦労する生徒さんたちですが、とても上手に伸ばせるのです。
ちなみに、私はそのレッスンの後、同じようにまた丸めずにバターを包み、1回目の折り込みを行い、休ませずに連続して2回目の折り込みをしてみました。
これがとても良い!!!
休ませなくてもすんなり伸びるのです。
さすがに連続3回はそろそろ生地も引き締まってきているのでやめておきましたが、、、
でも、3回目も、成型前の伸ばしも、丸めなかったことでかなり扱いやすくなっていたのは確かです。
家庭で折り込み作業をするなら、分割するほどたくさん仕込まない限り、このやり方はとても有効かと思います。
なにせ、ベンチタイムが2回、そして伸ばすのにかかる時間がかなり短縮されるわけですから^^
今日は「丸める」ということと、その後の弾力について書いてみました。
みなさまのご参考になればうれしいです。