オートリーズとは?目的と効果、普段のパン作りへの応用

パン作りを始めたころはフワフワの惣菜パンや菓子パンを作って満足していたのに、
パン作りにハマるほどにハード系のパンを作りたくなる。そんなことってないですか?

ハード系のパンの作り方(こね方)の中でよく目にするもののひとつに「オートリーズ」というのがあります。

「オートリーズ」とは?また、ハード系のパンを作るだけではない「オートリーズ」の私なりの活用法もご紹介したいと思います。

オートリーズとは?

※写真はイメージです。オートリーズ中の生地ではありません。

 

オートリーズとは、フランスパン生地を作るときのミキシング(こね)の工程の一部のことで、粉と水(必要ならモルトも)をざっと混ぜたあとに15分~30分程度生地を休ませることをこう呼びます。

オートリーズをとった後はイースト・塩を加えてミキシングの続きを行い必要なら油脂も加えて生地を完成させます。

ところで、オートリーズは英語で「autolyse」、意味は「自己融解する」です。

なんのこっちゃ・・・?ですよね(^_^;)

実は、この休ませている間に粉は水を吸収し、粉と水は「水和」されてグルテンが自然と形成されていくのです。
人間が手を加えなくてもグルテンが形成されていくから「autolyse(=自己融解)」というようですね。

製パンにおいては「オートリーズ」とは、小麦粉と水が合わせ後、自然とグルテンができるまで待つこと、と考えればいいと思います。

オートリーズの効果や利点とは?

オートリーズを行なう効果は「味」に対する効果というよりも、作業性にあると私は思っています。

つまり、こういうことです。

しっかりこねる前に、オートリーズで小麦粉と水を水和させることでグルテンを作ります。

グルテンができた生地はこねやすくなっています。

水分が多くてなかなかまとまらない生地をいつまでもグチャグチャこねるより、ずっと効率がいいです。

水分が多い生地とは?そうです、フランスパン生地とか!
ベーカーズパーセントで70%やそれ以上の水分を入れる生地はこねにくいですよね。
そんなときこそ、このオートリーズが役に立つのです。

オートリーズをとる場合のミキシング方法

<一般的な方法>
1.粉と水(必要ならモルト)を合わせてざっとこねる
2.生地にイーストをふりかけ、15~30分休ませる(オートリーズ)
3.イーストが見えなくなるまでこねる
4.塩を加えてさらにこねる(このとき、生地が引き締まります)
5.油脂があれば加えてこね、生地を完成させる

イーストをふりかけておくのは、オートリーズ中にイーストが水分を吸ってふやけるというのが理由です。
また、イーストを最初から入れてしまうと発酵が進んでしまうため後から入れます。

塩を後から入れる理由は、塩はグルテンを引き締める役割がありますので、オートリーズによって伸びやすい生地を作る効果を最大限にするために塩は邪魔になるというわけです。

ちなみにオートリーズ後に塩を入れると、途端に生地がプルンとするのを感じます。これが塩の引き締め効果です。

続いて、私なりのオートリーズです。

<ホシノ天然酵母を使う場合>
ホシノ天然酵母はゆっくりしか発酵しませんので、オートリーズ前に加えています。
ちなみに、0.1%ぐらいの微量のイーストでしたら、ホシノ天然酵母同様、先に入れても問題ないと思います。

<塩を入れるタイミング>
本来は上記のように後入れするのが理論的には正しいのですが、後入れって忘れるんです!!!!

なので、最初から入れることが多いです。

先日、松戸のパン屋「ツオップ」で伊原シェフの講習会に参加してきました。
そのとき、シェフも「塩は後から入れるようにすると、入れ忘れるから先に入れてもいいよ」とおっしゃっていたので、「プロも後入れしないんだ!」と妙に安心してしまいました。
ですので、オートリーズの効果を最大限に引き出すなら塩は後入れ、忘れちゃう人はオートリーズ前でもOKということです。
私は後者です(笑)

オートリーズを行なうパン作り

オートリーズは一般的には水分量が多いフランスパン生地を作るときに使う方法です。

でも、私は水分が多い食パンや、そのほかのパンをこねるときにもオートリーズをとっています。
レッスンでも、ホシノ天然酵母のパンなら「手ごねしくいときは、しばらく生地を寝かせてみてください」とよくお伝えしています。

手に負えないと思うような生地でも、15分~30分待つだけで自然とグルテンができてこねやすくなるから科学ってすごいです!

余談ですが、「こねにくい生地は時間が解決してくれるので待ってみてください」と私がいうと、

ある生徒さんが、
「夫婦喧嘩と同じですね。時間が解決してくれるんですね。」と(笑)。

レッスンで紹介しているイーストで手軽に作る「食パン」もオートリーズをとっています。
70%の水分を入れますが、オートリーズのおかげで無理なくこね上げることができます。
また、短時間で作るわりに、オートリーズでしっかりと粉が水分を吸収するので、日持ちもよくおいしくできます。

生地がどうしてもまとまらないと思ったら、ぜひオートリーズをとってみてくださいね。