先日のレッスンで、
「レシピ本を見ていたら『パンチを入れる』って書いてありましたが、パンチってなんですか?」
というご質問をいただきました。
パン作りにおいて「パンチ」とはグーで生地を叩くことではもちろんありません。
発酵の途中で生地をたたみ直すことを「パンチ」というのです。
私の教室ではパンチは入れないで発酵させるいわゆる「ストレート法・ノーパンチ」で作るのですが、せっかくなのでパンチについて書いてみたいと思います。
パンチを入れる目的
パンチは入れなくてもパン生地はできますよね。
ではパンチを入れる目的とは何なのでしょうか。
1.発酵中に発生したガスを抜き、生地の気泡を細かく均一なものにすること
2.ガスを一旦抜いて新鮮な空気に入れ替えることで、発酵を促進させること
3.発酵の途中でゆるんだ生地を触って刺激を与えることでグルテンを引き締め、生地を強くすること
このような目的があげられます。
パンチの入れ方
例えば90分発酵させるパンなら大体60分でパンチを入れます。
120分なら60分。発酵時間の約2/3のタイミングで入れるのが一般的です。
発酵時間の2/3が経ったときというのは、私の感覚だと2倍ぐらいまで膨らんだ状態かと思います。
約2倍に膨らんだパン生地を発酵ケースからそっと出します。
生地がべたついているなら、粉を表面に振ってから出すとよいでしょう。
また、生地が作業台にくっついてしまうと生地をうまく折りたためないので、作業台にも粉を振っておくと作業しやすいですね。
ケースから出した生地は作るパンによってパンチの入れ方を変えます。
ソフト系のボリュームを出したいパンなら、生地全体を手で抑えてガスを抜きます。
左右・手前・奥からそれぞれ1回ずつたたみ、きれいな面を上にしてケースに戻します。
リーンな生地になるにつれて、パンチは弱くします。
ガス抜きも軽く抑えるだけにとどめたり、パンによってはガス抜きをせずに折りたたむだけということもあります。
また、折り方もソフト系なら4回折りたたむところを、リーンなパンは左右から折りたたむだけということにもなります。
イースト量が多めで1時間以内で発酵が完了するようなパンを作る場合は、パンチは不要かと思います。
「パンチでつなげる」とは?
発酵の途中で入れるパンチとは違い、ミキシングの工程のひとつとしてパンチを取り入れる場合があります。
例えば水分がすごく多くゆるゆるとした生地の場合がそれです。
生地を軽く練って30分寝かせ(オートリーズ)、次はボールの中で生地を4回折りたたむ。
また30分寝かせて、、、とこれを2~3回ぐらい繰り返しながら生地を作って行く方法です。
一度私のレッスンでもこの方法を取り入れたことがあるのですが、単純な作り方の方が人気ですね(^_^;)
このこね方だと一生懸命こねなくていいのですが、パン生地ができあがるまでに時間がかかるという点で面倒に感じてしまうみたいです。
私も面倒なことが苦手なので、基本的にはパンチを入れずに作っています。
でも、パンチを入れるのと入れないのでどれぐらい違ってくるのか、何度か試して見る必要はありそうですね。
自分で違いがはっきり分かるようになったら、またみなさんに詳しくお話できると思います。
ちなみに、この記事の上の写真はホシノ天然酵母とキタノカオリを使って昨晩こねた生地を一晩常温発酵させ、今朝焼いたものです。
パンチを途中で入れたらもっとボリュームが出たかな?
ホシノ天然酵母で冷蔵発酵させるなら、冷蔵庫に入れる前にパンチを入れることになりそうですが、パンチを入れたら入れないよりいい感じに仕上がるならいれてみたいし、、、
とりあえず、今度試してみまーす!