少し前のことですがホシノ天然酵母の会社の方による「ホシノルヴァンの作り方と活用」に関するセミナーを受講しました。
この「ホシノルヴァン」とは、ほぼ同量の小麦粉と水、それに少量のホシノ天然酵母と塩を混ぜて長時間発酵させて作るもので、いわゆる「ポーリッシュ法の生地種」だと考えて良さそうでした。
ホシノ天然酵母を使ったポーリッシュ法というのはあまり聞いたことがなかったのと、
教室ではお教えしていない製法ですので、この機会にパンの製法のひとつ「ポーリッシュ法」についてご紹介したいと思います。
ポーリッシュ法は発酵種法のひとつです
ご家庭でパン作りをされる方のほとんどが、そして私の教室でも「ストレート法」という、すべての材料を一度にこねて生地を作りパンを焼いていらっしゃるかと思います。
しかし、パン作りの製法にはストレート法以外にもいろいろな製法があります。
そのことについては以前書きましたね。
詳しくはこちらをご覧ください↓
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ポーリッシュ法はストレート法とは異なり、パン材料の一部の小麦粉と水、塩、酵母をまぜて発酵生地(発酵種)を作ります。
その後、残りの材料と発酵生地をこね合わせ、本生地を仕上げます。
このようにパン生地の一部を先に作り、それを種生地として使う製法を「発酵種法」といいます。
【発酵種法の工程】
1.発酵種を作る
(1)発酵種のミキシング
(2)発酵
2.本ごね(発酵種と残りの材料をミキシングして本生地を作る)
3.一次発酵
4.分割・丸め
5.ベンチタイム
6.成形
7.しあげ発酵
8.焼成
ストレート法と比べると、発酵種を作るという工程がひとつ増えますね。
家庭向きではないかもしれないですが、多くのパン屋さんで発酵種法は普通に取り入れている製法なんです。
さて、発酵種には「液種」「生地種」「中種」「サワー種」「自家製酵母種」などいろいろな種類がありますが、「ポーリッシュ」の種は「液種」の仲間に入ります。
ポーリッシュ法とは
ポーリッシュ法は19世紀のポーランドで生まれた製法なので、ポーランドの国名にちなんで「ポーリッシュ法」と呼ばれてるそうです。
【一般的なポーリッシュ種の作り方】
1.粉の総重量の30~40%の小麦粉に、同量の水と少量のイーストと塩をねばりが出るまでヘラで混ぜる
2.低温で12時間~24時間、生地が発酵のピークを過ぎるまで(種落ちするまで)発酵させる
粉と同量の水を入れるから、生地はドロドロしているので「液種」とも呼ばれています。
水が多いからヘラで混ぜるだけなのでとても簡単です♪
【ポーリッシュ法の特徴】
1.低温で長時間発酵させたポーリッシュ種には、発酵生成物の香り・風味が十分に付いているため、ポーリッシュ種を使ったパンは香り・風味が良くなる。
2.パンにボリュームがでる。クラストも薄く仕上がる。
3.パンの硬化(老化)が遅い。
4.本ごね後の製造時間(発酵時間)が短い。
特に4の「本ごね後の製造時間が短い」点において、朝早くから営業を開始しなければならないパン屋さんにとって、当日の製造時間が短くても風味高いパンが作れるのは労働時間の改善などでメリットが高く採用することが多いようです。
ホシノ天然酵母でポーリッシュ種を作る
冒頭に書いたとおり、イーストだけでなく、ホシノ天然酵母でもポーリッシュ法でパンを作ることができます。
作り方はイーストで作るときと同じですが、水の量はホシノ天然酵母が液体なので粉の重量の90%に減らします。
セミナーではポーリッシュ法で焼いたホシノ天然酵母のパンを試食させていただきました。
すごくおいしかったので早速作ってみようと思っていたのですが重い腰がなかなか上がらず、、、
先日ようやく試してみることができました。
作ってみたのは食パンです。
ホシノ天然酵母を使ってストレート法で作る食パンもとてもおいしいのですが、ポーリッシュで作るとさらにやわらかくしっとりした食パンに焼きあがりました!!
どのぐらいポーリッシュ種を配合するのかきちんと計算しないで多く仕込んでしまったので、翌日は余ったポーリッシュ種と、本ごねではインスタントドライイーストを使って短時間でバゲットを作りました。
こね始めてから2時間半というスピードで作ったのでふかふかのバゲットに。
それでも風味は良くて、短時間で作ったのに翌日もあまり硬くなりませんでした。
ポーリッシュ効果ですね!!!
実はポーリッシュについては松戸の名店「ツオップ」でも講習会を受けていて、私の中でふつふつとポーリッシュ熱が湧いています。
種作りがぐるぐると混ぜるだけでいいというのが、ほかの発酵種より手軽なように思います。
今年でパン教室も3年目に入る生徒さんもいらっしゃいますので、ストレート法だけでなくいろいろな製法をご紹介していけたらいいなと考えています。