「キタノカオリ」とは?もっちり甘くて黄色の国産小麦粉

先日はイーストで2種類のパンを作るという、アトリエ・ド・ギャミーヌでは珍しいレッスンをしました。

作ったのはシナモンロールとバターロール。両方ともバター・砂糖・卵黄を使ったリッチなパンでした。

さて、この2種のパンに使っている小麦粉ですが、国産(北海道産)のキタノカオリを100%で作っています。

キタノカオリは最近では国産小麦粉の中でもすごく人気があり、有名パン屋さんでは「キタノカオリ100%」を売りにしているパンが並んでいたりもします。
私もキタノカオリの虜になってしまった一人(^_^;)
もちもちして甘いパンが焼けるキタノカオリのおいしさを知ってしまっては、もうほかの小麦粉には戻れません。

そんな大好きなキタノカオリについて今回は書いてみたいと思います。

「キタノカオリ」はこんな粉!

「キタノカオリ」は北海道の「ホロシリコムギ」とハンガリーの「GK-Szemes」という小麦を掛け合わせて作られた小麦です。
その歴史はまだ浅く、発売されたのは2003年だそうです。

歴史は浅くても大人気の小麦粉。特徴について見ていきましょう。

キタノカオリといえば粉の色が黄色味がかった色が見た目の特徴です

キタノカオリを使ったパンの断面もクリーム色っぽく色付きます。
卵を入れたかのようなこの色を見るだけで「おいしそう!」に感じてしまいますね。

この写真だとわかりにくいかな~(^_^;)
実物は明らかに普通の食パンよりも黄色いんですよ。

色以上に特徴的なのがです。

ほかの小麦粉にはない甘味があり、小麦粉の味そのものがとても濃い。

そしてキタノカオリで作ったパンの食感はもっちもち!

甘味ともちもち食感。これなしではキタノカオリは語れないというほど特徴的なんです。

キタノカオリが向いているパンは?

味が濃いことが特徴的な小麦粉ですので、シンプルな配合で作るパンほどキタノカオリの良さを発揮できると思います。

私のレシピの中で「キタノカオリでなくては作れない!!」という大好きなパンを3つご紹介します。

キタノカオリ×ホシノ天然酵母の組み合わせで作る高加水のクッペ

キタノカオリはたんぱく量が高く、吸水性に優れています。

国産小麦粉は外国産小麦粉に比べて吸水性が低いから少なめの水分量にしたほうが良いと聞きますが、キタノカオリに限ってはそんなことはありません。

だからこのクッペは水の量がかなり多めに使っているのです。

キタノカオリ×ホシノ天然酵母の組み合わせで作るベーグル

クッペとは逆で水分量は少ないのですが、その分小麦粉の味がさらに濃く感じられるんです。
だからこそ、ほかの小麦粉では代用が効かない。
ほかの小麦粉を使ったら、別の味のベーグルになってしまうほどです。

イーストの湯種食パン

これは最近レッスンに登場したパンですね。(2019年5月)
試作段階でキタノカオリの後継品種「ゆめちから」を使ってみたのですが、確かに膨らみは抜群ながら味に納得がいかず結局キタノカオリに落ち着いた経緯があります。

ちなみに「ゆめちから」で作った方があっさりした味わいでしたよ。
これはこれでおいしいのですが、私はキタノカオリの濃い味の虜なので物足りなく感じてしまったのです。

以上3種類です。

こんなシンプルなパンに使うのがとくにおすすめです。

では、最初にご紹介したバターロールやシナモンロールはどうなの?というところですが、
副材料が多いので、上記3種類のパンのように「キタノカオリでないとダメ!」というほどではないです。
もちろん、キタノカオリで作るともちっとしておいしいのですが、副材料の味も加わるのでほかの小麦粉でも正直なところ代替はききます。

キタノカオリはこねている最中からモチモチしていて手にたくさんついてこねにくいので、手ごねレッスンでシナモンロールとバターロールを作ったときはほかの小麦粉で作っていただきました。

キタノカオリは今後なくなるって本当??

一時、ヒヨリブロートの塚本さんの発信で「#キタノカオリニ恋してる」というハッシュタグをつけてキタノカオリの生産継続について叫ばれていましたね。
私もこの発信を見てかなりびっくりした一人です。
だって、キタノカオリがなくなったらどうなってしまうの・・・?
本当に代わりの効かない粉だから・・・

キタノカオリは育てるにとても手間がかかる品種だそうです。
だから、キタノカオリ小麦の生産から別の農産物の生産へと切り替える産地・生産者グループが増加し、一大産地の岩見沢近郊でも作付け面積で50%減少し、今後さらに50%減少するという見通しも出てきているそうです。

ただ、今後も製粉メーカーによっては作付けから農家と契約して小麦を確保するところもあり、キタノカオリが全く買えなくなるということはないみたいですが、値段は益々高騰するのは必至ですね。

キタノカオリを愛して止まない私としては、いつまでも食べられることを願っています。

以上、キタノカオリのご紹介でした~!