パン作りをするなら、小麦粉は「強力粉」「準強力粉」を普通なら選びますね。
お菓子作りをするなら「薄力粉」を選ぶでしょう。
そして麺類を打つなら「中力粉」が適しています。
このような「強力粉」「準強力粉」「中力粉」「薄力粉」は小麦粉に含まれるタンパク質の量によって分類しているのです。
多くの場合はタンパク質を全体の12%以上含むものが強力粉、8.5%以下のものが薄力粉、その中間が準強力粉・中力粉です。
※「多くの場合は」というのは、この分類はJIS(日本工業規格)やJAS(日本農林規格)のように国が決めたものではなく、製粉会社が独自の仕様目的に応じて規格を付けただけだからです。
このようにタンパク量を基準に分類する方法はアメリカから伝わったそうです。
なぜタンパク質の量で分類するのかといえば、小麦タンパクがパンを作るうえで重要な役割を果たす「グルテン」を形成するからのようです。
食パンのようにふわふわと大きく膨らんだパンを作るなら、強いグルテンを形成しなくてはならないので、タンパク質含有量の多い「強力粉」を選ぶことになります。
バゲットに代表されるフランスパンのようなハード系のパンなら、タンパク質含有量が少なめの「準強力粉」が適していますね。
さて、「強力粉」「準強力粉」「中力粉」「薄力粉」という分類はタンパク質の含有量で分類されていますが、
小麦粉のパッケージに「灰分」についても記載がありますね。これについても見ていきましょう。
灰分とは?
小麦粉を高温で燃やしたときに、たんぱく質、でんぷん、脂質などは燃えてなくなりますが、一部は灰として残ります。
それが灰分とよばれているものです。
灰分は小麦の外皮や胚芽部分に含まれる、リン、カリウム、マグネシウム、鉄などのミネラルです。
灰分が多い小麦粉は灰色掛かった色をしています。
私のパン教室で使っている「タイプER」は同じくパン教室で使っている準強力粉の「リスドォル」と比べてみると、だいぶ色がくすんでいます。
また、灰分が多いとミネラル分が多いということなので、「ヘルシー」とも言えますね。まぁ、多少の違いかとは思いますが、、、
灰分が多いと、小麦の風味が強く、香ばしさや複雑な雑味、うまみも濃くなるともいわれています。
味以外のところでいうと、酵素活性が強いので発酵が早くだれやすいのが特徴です。
戦後から昭和50年代初期ぐらいまでは、
「白い小麦粉で作った白いパンこそがおいしい」
と言われていたそうですが、
最近では灰色掛かったクラム(中身)で、小麦の風味や味わいの強いハード系のパンも人気です。
私もそういうパンは大好きです!
栄養価を考えても、真っ白な白米より、精製を抑えた3分づき、5分づき、などのお米がいいとされるように、小麦粉でも灰分が含まれているほうがいいですね。
フランスの小麦粉の分類方法は?
ところで、日本やアメリカではタンパク質含有量で小麦粉を分類しますが、フランスはこの「灰分」がどれだけ含まれているかが、分類の基準になります。
例えば灰分が0.8%含まれるなら、「タイプ80」という名前の粉になります。
タイプ45にはじまり、タイプ55、タイプ65、タイプ80、タイプ110、タイプ130、タイプ150の7種類あります。
タイプ45は日本でいう薄力粉にあたり、タイプ55が中力粉(準強力粉)ぐらい、タイプ150は全粒粉になるといいます。
フランスでは日本のようにタンパク含有量が高くて真っ白な小麦粉で作るふわふわなパンはあまり見かけないような気がします。
準強力粉で作る固焼きのパンが主流ですね。
教室で使っている「タイプER」の「ER」は「EUROPE」が由来で、フランスの小麦粉を思わせるという意味合いが含まれているとか。
灰分が多めの小麦粉はぜひハード系のパンに使ってみてください!
最後に・・・
いろいろ書きましたが、タンパク質含有量や灰分量を見ただけではどんな小麦粉なのか、というのは見分けがつかないというのが正直なところです。
やっぱり使ってみないことにはわかりませんね。
ただし、タンパク量は多いからといって必ずしもグルテンの量が多くて強い生地、そしてふわふわのパンが焼けるかというとそうでもなくて、そこには灰分の量が関係しているということもあるわけです。
うーん、奥深い。
まぁ、とにかく使ってみることが一番だと思います!