ライ麦粉の特徴と使い方

昨今の健康ブームでパンについても「白いパンより茶色のパンを食べよう!」と言われていますね。

茶色のパンとはどんなパンでしょう?
全粒粉やライ麦パンを配合したパンがそれに当たるのかと思います。

たまに「ライ麦粉がないときは全粒粉でもいいですか?」と質問を受けますが、
そもそも、全粒粉とライ麦粉の違いとは??

ライ麦粉と全粒粉の違い

全粒粉は小麦の外皮も含め、小麦粒をまるごとひいた粉のこと。
ちなみに、一般的に小麦粉といえば小麦の外皮と胚芽を取り除いた胚乳の部分を粉砕した粉のことを指します。

一方、ライ麦粉はライ麦の外皮を取り除いて粉砕した粉で、ライ麦全粒粉といえばライ麦の外皮、胚乳、胚芽すべてを粉砕した粉ということになります。

小麦とライ麦ではそもそも別のものなので味はもちろん違いますが、パンを作るうえで大きな違いがひとつ挙げられます。

それは、

ライ麦粉はグルテンを作らない

ということです。

グルテンを作らないライ麦粉

グルテンというのは小麦粉特有のタンパク質が水と合わさるとこで作られます。
作られたグルテンはパンの骨格となり、発酵中に発生したガスを抱えこみながらパン生地は膨らみます。

では、グルテンを作らないライ麦粉を使ってパンを作るとどうなるのか?

まず、ライ麦粉だけで作ったパンはガスを抱えられないのでほとんど膨らまず、どっしり重く目が詰まっています。

その昔、寒冷地がゆえに小麦を栽培できなかったドイツではライ麦を栽培し、ライ麦でパンを作っていました。
そんなドイツのパンは目が詰まっていてどっしり、そして酸味があるイメージですね。

小麦粉を輸入できるようになってからは、小麦粉とライ麦粉を混ぜたパンが作られるようになり、今ではいろいろな配合率のライ麦パンが作られています。

小麦粉の配合率が高くなれば、グルテンが作られてパンはふっくらします。

ライ麦粉の配合率が高いと目の詰まったパンになります。

<先日の講習会で作ったライ麦パン。ライ麦粉の配合率は50%以上>

ライ麦粉の配合には注意が必要

ライ麦粉を40%以上配合するなら、ストレート法は向かないと思います。
ライ麦粉が入ったパン生地はつながりが弱いので、そもそもまとまらないかもしれません。

もし、40%以上を配合するなら発酵種(サワー種やルヴァンミクスト)を使うのが一般的かと思います。

あまり家庭向きの作り方ではないですね。

では、家庭で簡単に作るパンならどれぐらいまで入れられるか?

私の感覚ですが、10~20%が無難ではないでしょうか。
ホシノ酵母で長時間発酵させるなら、もうちょっと加えられるかもしれませんね。

ライ麦粉はいくらこねても生地がつながるということ(=グルテンが作られる)はないので、入れ過ぎてしまうといつまでも粘土のように手にもニーダーにもベトベトとつき、取り除くのにも一苦労です。

ライ麦粉は水分を吸収し保持することも特徴のひとつです。
保水力があるのでライ麦粉が入ったパンは翌日もしっとりしています。

しかし、水分を吸収するからといって多く入れすぎるとドロドロの生地になってしまいますので、
水分量には注意が必要です。

挽き方によって使い分ける

ライ麦粉には細挽きと粗挽きがあります。
粗挽きだとつぶつぶ感があるので、ざっくりとしたパンが作れます。

細挽きは小麦粉と同じようにサラサラしています。

私はどちらかというと細挽き派で、小麦粉になじませて使うことが多いです。
よく使うのは富澤商店の「ヴァンガーランド」。小麦粉が少し配合されているようでとても扱いやすいです。

以前、国産ライ麦粉を使ってみたのですが、ヴァンガーランドのときと同じ配合にしたのに生地がドロドロになってびっくり(°д°)
種類によって配合を決めていかなくてはなりませんね。

おいしくて健康効果も期待できるライ麦パン

忘れてはいけないライ麦粉の特徴が「味と香り」。
ライ麦粉は10%混ぜるだけでも、パンにコクが生まれます。
香りも豊かになります。

栄養面についても見逃せません。
ビタミンB群と食物繊維が豊富なので、便秘解消にも一役買うかもしれませんよ?!

ぜひ、少しの量からライ麦粉を配合してみてください。パンのバリエーションがきっと広がります!

ライ麦粉配合のパン

最後に新作の「ライ麦食パン」のご紹介です!

ライ麦粉を20%配合し、トップにはシードミックスをのせてクラスト(外側)はしっかり焼き込み、クラム(中身)は軽くてしっとり仕上げます。
ストレート法短時間発酵なので、下手するとライ麦粉が臭く感じてしまいますが、そこにはあるものを配合して調整しています。
手前味噌ですが、かなりおいしく仕上がったかと(´∀`*)

焼いた翌日、袋から出すとふわっとパンの香りが漂うとおいしい朝食に期待が膨らみます。
もちろん翌日でも生地はしっとり。軽くトーストするのもオススメです。

先日はこんなサンドイッチも作ってみました。

こちらはデザート系。最近いちじくが出回っているのでクリームチーズの上にのせてみました。