「パンのレシピにあるスキムミルクは入れなくても大丈夫ですか?」
スキムミルクを使ったレシピでレッスンをするとほぼ必ずいただくご質問のひとつです。
答えは
「なければ入れなくても大丈夫ですよ」
です。
では、なぜ、スキムミルクを入れなくても作れるのに、入れる配合になっているのでしょうか。
パン作りにおけるスキムミルクの役割
スキムミルクとは「脱脂粉乳」のことです。
その字のごとく、牛乳から水分や脂肪分を除いた乳固形分というわけです。
つまり、スキムミルクをパンに入れることは牛乳も含めた「乳製品」を入れることとほぼ同じです。
ではパン作りにおけるスキムミルク(乳製品)の役割を見ていきましょう。
★役割1 パンにほのかなミルクの風味と香りをつける ★役割2 |
役割1はなんとなく分かりますよね。
ミルクのほんのりあま~い風味と香りはパンをよりいっそうおいしくしますね^^
では役割2はどういうことでしょうか・・・?
酵母(イースト)は「糖」を栄養源にアルコールや炭酸ガスを発生しパン生地を膨らませます。
ですが、乳製品に含まれる「乳糖」は酵母の栄養源とはならず、最後まで残ります。
この残った乳糖は加熱されるとカラメル化により焦げ色が生じ、パンの焼き色がよくなるというわけです。
(※乳たんぱくの加熱によるメイラード反応も焼き色をよくします。)
ミルク風味をしっかりと出すには小麦粉量の6~7%のスキムミルクが必要だと言われています。(『パン「こつ」の科学』より)
それより少ない配合なら、ミルク風味もよりほんのりしたものになりますが、焼き色をよくする役割は果たします。
少し話は戻りますが、パンにスキムミルクを入れなくてもパンは焼きあがりますが、、、
こんなふうにおいしそうな焼き色がつくとやっぱりうれしいです!
スキムミルクを牛乳に置き換えるには
「スキムミルクはないけど、牛乳ではダメですか?」
こんな質問もよくいただきます。
答えはもちろん「OK!」。
牛乳の乳固形分は約10%と言われていますので、10gのスキムミルクを入れるなら100gの牛乳を入れることになりますね。(スキムミルク×10ですね)
残りの90gは水分ですので、全体の水分量から90gを引けば、水の量も算出できます。
具体的な数字を例に見てみましょう。
スキムミルク:6g
水:100g
を牛乳に置き換えるとします。
牛乳=6×10=60g
このうち、牛乳に含まれる水分は54g(牛乳の90%)です。
レシピの水100gから、牛乳に含まれる水分を引けば、牛乳を使った場合の水の分量が出せます。
水=100-54=46g
牛乳60g、水46gに置き換えられることが分かりました。
ただし、牛乳には脂肪分が含まれますので、スキムミルクを入れたパンとまったく同じパンができるかといえば「No」です。
また、牛乳を使うと生地が引き締まりますが、スキムミルクだとそういうことはありません。
その辺の違いもありますが、スキムミルクから牛乳への置き換えはできますので、ぜひお試しくださいね。
スキムミルクの使用上の注意点
スキムミルクは吸湿性が高いので、配合する直前までは空気に触れないようにしてください。
計量後、すぐ粉に混ぜないならラップをかけたり、小さな密閉容器に入れるなどすると良いと思います。
また、室温で保存をします。冷蔵庫や冷凍庫で保存すると、使うときに出し入れしたときにできる結露を吸ってダマができてしまいます。
スキムミルクはパン作りに必ず必要ではないかもしれませんが、
パン作りにおけるスキムミルクの役割を知ってご自分で入れるか入れないかを選択してくださいね。