先日、生徒さんからこんな質問がありました。
「レシピによってベンチタイムがあったりなかったりするのはなぜですか?」
実は、「はじめてメニュー」で作る「フォカッチャ」ではベンチタイムをとっていません。
だから少し混乱してしまったのですね。
今回は「ベンチタイム」の意味について書いてみたいと思います。
「ベンチタイム」とは?
「ベンチタイム」は一次発酵が終わった生地を「分割」」し、生地を「丸め・まとめ」たあと、「成形」まで生地を休ませる時間のこと。
生地を分割して丸める(まとめる)というのは、一次発酵中にできた不揃いな気泡を抜いて均一化した生地を丸めることです。
このとき、生地の表面に張りを持たせてなめらかにすると、このあとの工程でパンをきれいに成形することができます。

<丸め>
また、生地を「触る」、「丸める」、「まとめる」といった作業により、生地のグルテン組織に刺激が与えられ、生地は弾力を持ちます。
しかし、弾力のある状態では、生地は伸びず成形がうまくできません。
そこで、成形がしやすくなるまで生地を休ませてあげるのです。
この休ませる時間のことを「ベンチタイム」といいます。
そもそも、パン生地というのは力を加えると弾力を持ちますが、時間がたつとゆるんでくるものなのです。
ベンチタイムの時間は作るパンによって異なりますが、
成形時に薄くのばすようなパンの場合は、生地が十分にゆるむまで休ませると良いでしょう。
また、成形のときもパン生地はある程度伸ばすと、
それ以上は伸びるどころがすぐに縮んでしまうことがあります。
こういうときは、それ以上いくらがんばって伸ばそうとしても伸びませんので、生地を一旦休ませてください。
すると、また伸びるようになります。
よく「ピザ生地がうまくのばせません」という話を聞きます。
これも上記と同じことで、伸びなくなったら生地を少し休ませてあげるといいですね。
ベンチタイムを省略する理由
さて、話は最初に戻ります。
なぜ「はじめてメニュー」の「フォカッチャ」ではベンチタイムをとっていないのか。
はじめてのパン作りの場合、丸めるのにとても時間がかかります。
レッスンでは5~6個の生地を丸めるので、一番始めに丸めた生地は、最後の丸めが終わったころには生地がゆるんでいるのでベンチタイムを省略しているのです。
でも、丸めになれてすぐに作業を終わらせることができるようになったら、
ベンチタイムをとる方が成形は楽にできますね。
ご自宅に帰ってレシピを見ながらもう一度習ったパンを作ると疑問点が出てきたら、どんどん質問してくださいね!
もしかしたら即答できないこともあるかもしれませんが、できる限りお答えしたいと思っております。
また、これからも単にレシピをなぞるだけではなく、
それぞれの作業の意味や材料の役割を理解いただけるようなレッスンになるように精進してまいります!