いつもの水分量なのにパン生地がべたつくワケ_「調整水」という考え方

「日本列島の梅雨入りって、こんなに早かったっけ・・・?」

と、まだ5月だというのに、曇り空ばかりの今日この頃。
ここ千葉ではまだ梅雨入り宣言はされていないですがもう梅雨のような天候です。
(今日だけは晴れてます)

雨のシーズン、嫌なのがジメジメとした湿気ですよね(;^_^A
洗濯物は乾かないし、髪の毛もなんだかまとまらないし。

そしてこの湿気、実はパン作りにも影響してきます

パン生地はいつもと同じ材料・同じ分量で作っても、毎回同じように仕上がるとは限りません。
やわらかかったり、硬かったり。

それはそのときの湿度の違いが原因だったりするのです。

乾燥している日は生地は硬く、雨の日など湿気の多い日は生地がべたつきます。

「調整水」でパン生地のかたさを調節

家庭でパンを作るのに、そこまで気を付ける必要はほとんどないと私は思っているのですが、
レシピの水分量のから一部を取り分け、生地の硬さをその日その日で調整するのが本来のパン作りです。

この取り分けた水のことを調整水と呼びます。

調整水はレシピの水分量の大体3~5%をあらかじめ取り分けます

小麦粉の量が200gで、水が130g(ベーカーズパーセントで65%)だったとしたら、その5%は6.5g。

小さじ1杯強ぐらいの分量ですね。

調整水を除いた水分量でパン生地をこね始め、こねる工程の序盤で調整水を加えて生地のかたさを調節していきます

「序盤」といってもどのような状態か、ということになりますが、
水の大半が小麦粉に吸収されているけど、表面はまだなめらかではない状態(=グルテンが形成され始めた状態)で調整水を加えます

できるだけ早い段階で調整水は加えることが大切になってきます。

(ちなみに、ほぼ生地ができてから(グルテンが完成されてから)では、加えた水は「遊離水」といって、グルテンの隙間に泳いでいるような状態になります。
バシナージュで加える水はこういう状態ですね。)

しかし!
こねの早い段階で、生地の状態を「今日は硬いな」「今日はやわらかいな」などと判断するのはかなり慣れている人にしかできないワザではないでしょうか!

そんなわけで、教室では調整水を取り分ける方法はあまりお伝えしていないんです。

では、なぜ今回はこのことを記事にしようと思ったのかといえば、ある日のオンラインレッスンがきっかけでした。

地域によって生地の硬さに違いが!

オンラインレッスンでベーグルを作っていた日のこと。
私のオンラインレッスンは「こねる日」と「分割~焼成の日」の2日間あるのですが、それは2日目でした。

私の住んでいる千葉はカラッとした天気で、生地が乾燥気味でした。
ベーグルはもともと水分が少ないので、湿度の低い日はこんなものかな、なんて思っていたぐらいです。

成型するときには、ベンチタイムのときにかけていたビニール袋から生地をひとつずつ出し、
できるだけ乾燥しないように気を付けていました。

生徒さんたちも同じような感じかと思い、乾燥に注意するように声掛けをしたのですが、

ある生徒さんから

「先生みたいに生地が乾燥気味どころか、べたついています」

と。

よくよくお話を伺うと、お住まいの日本海側の地域は湿度が高く、こねているときからべとつきがあったということなんです。
しかも、同じく日本海側にお住まいのもう一人の方も同じ状況だということが分かりました。

なるほど。
当たり前と言えば当たり前かもしれないですが、地域によって湿度が異なるから、同時に作るオンラインレッスンだとその違いがはっきりでるんですね。

ちなみに、この生徒さんは他の教室のオンラインレッスンにもご参加されたことがあり、同じようにほかの地域に比べて生地がいつもべたついた感じがあるそうです。

湿度が高いということは、小麦粉が湿気を吸うから持っている水分量も違ってきますよね。
そうすると、レシピは同じでも、生地のかたさは変わってきます

水分量もカジュアルに変換!

パン教室で習って、その先生が「こんな感じの生地で正解です」って見せてくれない限り、
レシピを見て作るだけだと、もし生地がとてもべたついていたとしても、それが適正なのか、水分を調整したほうがいいのか分からないものです。

ということは、レシピの配合なんてものは、結局自分でいじるしかなくて、
つまるところ、それが「おいしい!」と思えるものであればそれでいいんじゃないかな、と思います。

それが私がいう「カジュアル変換」なんですけどね^^

とりあえずは水!特にこれから湿度が上がる梅雨の時期、ご自分に合った分量に調整してみてくださいね♪