ぎゃーっ!!
朝起きてびっくりΣ(゚д゚lll)
前日の夜にこねてオーバーナイトで室温発酵させていた生地が、勢いよく膨らんで今にも溢れだしそうです!!
こんなに膨らんで大丈夫?過発酵??
一見すると心配になってしまいますよね(^_^;)
でもまったく過発酵ではなく、むしろちょうど良かったと思います。
捏ね上げた生地は丸めて容器に入れてから平らにします。
そして生地のてっぺんにテープで印をつけています。
「ここからスタート」の印です。こうすれば、どれだけ膨らんだかは一目瞭然です。
蓋を持ち上げるぐらいですから、結局捏ね上げたときの生地は3倍以上に膨らんだということになりますね。
この写真をインスタにのせたところ、生徒さんから
「立ち上がる力凄すぎです!」
とコメントをいただきました。
そうなんです!蓋が空いてしまうぐらい力強い生地。
この大きさまで膨らんでも、フィンガーテストでは適正でした。
(※フィンガーテストとは、発酵させた生地に指を突っ込み発酵状態を確認する方法。
穴がすぐに縮むと発酵不足、穴がそのまま残ると適正発酵、生地がストンと落ちると過発酵)
その後、分割・成形・仕上げ発酵を行い、いい感じに食パンが焼けましたよ~^^
今回は「こねる」ということがパンにどのような影響があるのかついて考えてみようと思います。
どうしてパンは膨らむのか?
小麦粉は水と混ざると「グルテン」ができるというのはご存知かと思います。
もっと細かくいうと、小麦特有タンパクの「グルテニン」と「グリアジン」に
水と力(練る、こねる、打つ)が加わると「グルテン」ができます。
グルテンは網目状の組織で、パンの骨格になります。
こねることでグルテンの網目構造の密度は高くなります。
洋服のニットの網目を想像してみてください。
よくこねれば目の詰まったニットに。こねなければ網目がおおざっぱなニット。
そんなニット生地を今度はゴム風船にたとえてみましょう。
ゴム風船がグルテンで、風船を膨らますための空気が発酵時に発生するガスだとします。
発酵で発生したガスが増えるにつれて、グルテンの風船はどんどん膨らみますね。
(=パン生地が大きく膨らむ)
このとき、グルテン(=風船のゴム)の密度が高くて丈夫ならたくさんのガスを抱えることができます。
でも、密度が低くて弱いゴムだったとしたら・・・?
少しのガスしか抱えられないので、大きく膨らむことはできませんね。
つまり、よくこねた密度の高いパン生地ほど、たくさんのガスを抱え込んで一次発酵で大きく膨らむことができるのです。
一方、こねない生地というのはグルテンが弱い。
⇒ガスを少ししか保持できない
⇒一次発酵であまりふくらまない。
こういうことになります。
写真の生地、小麦粉は国産強力粉の「キタノカオリ」を使いました。
配合はノーマルな感じですが、キタノカオリは水分をよく吸収するので少しだけ水分量は多めです。
多めと言ってもホシノ天然酵母のパンにしては、、、という程度です。
キタノカオリのパンはおいしいかわりにすごくこねにくいです(^_^;)
水が多くなればさらにこねにくい。
私は普段、ニーダーを使ってこねますが、この生地はいくらこねてもなかなか良い生地になりませんでした。
そういうときは自分でこねます。台に出して叩き捏ねです。
一気に生地の様子は変わります。
ダラッとしてベタつきがちな生地が、力を加えることでグルテンが強化されるんです。
強い生地かどうかは生地を伸ばして膜が張るか。
そしてその膜を指で押しても生地が切れずにプルンプルンとなるか、で判断ができます。
プルンプルンすれば強いグルテンができたことになります。
今回は大きく膨らむ食パンにするためによくこねました。
だから力強く膨らみ、蓋をも持ち上げ3倍以上に膨らみました。しっかりガスを保持できていた証拠です。
これがこねが足りない弱い生地なら、ガスを保持できず、
きっと過発酵状態になってしぼんでいたはずです。
一次発酵の膨らみが、その後のパンの大きさに影響
よく言われるのが、
「一次発酵での膨らみが足りないとかたいパンになる」ということ。
それってどういうことなのでしょうか。
これはあるシェフから伺った話です。
パン生地は一次発酵で膨らんだ分だけ仕上げ発酵で膨らみ、さらに焼成で釜伸びするそうです。
膨らむ生地になるかどうかは一次発酵で決まるということになりますね。
例えば、一次発酵の膨倍率が2倍の生地と3倍の生地を用意したとします。
それぞれのパン生地を成形した後、同じ条件で仕上げ発酵(ホイロ)をとった場合、
膨倍率2倍のパン生地の方が、3倍のパン生地より先に発酵のピークに達するといいます。
膨倍率が3倍の生地はその後さらに大きく膨らみます。
大きく膨らめばパンはふわふわになりますね。
膨らみが少なければ目の詰まったパン、つまり硬いパンになるというわけです。
では、作りたいパンを想像して、どのように作ったら良いのか工程を遡って考えてみます。
<作りたいパン>
大きくふわふわに膨らんだパン
↓
<焼成>
大きく釜伸びさせる
↓
<仕上げ発酵>
大きく膨らませる
↓
<一次発酵>
十分に大きく発酵させる
↓
<生地作り>
一次発酵でたくさんのガスを抱えられるだけの強いパン生地になるようによくこねる
こんな風に考えると、よくこねなくてはふわふわにならないということがわかりますね。
こねなくてもよいパンもある
パン生地は基本的にはよくこねた方が失敗なくできると思います。
だからといって、どのパンもよくこねなくてはいけないということではありません。
ハード系のパンではあまりふくらまないようにすることで生地が詰まる分、味も濃くなります。
パンを噛み締めて小麦の味を楽しみたいなら、ふわふわにする必要はないですよね。
要は、作りたいパンにあわせてこね方を決めればいいのです。
そのためには、まずはこねるとパン生地がどうなるのか、ということを知ること。
なぁんて、私もまだまだパン生地をこねながら迷うところは多々あるんです(^_^;)
だからパン作りって奥が深くて楽しいですよね^^
そんなことを考えながら一緒ににパン作りを楽しみましょう!