作りたいパンNo1といえば「食パン」という方、いらっしゃいますよね!
上の写真のような上部がぱりっとした山型食パンや、蓋をして焼く角食パン。
どれも上手におうちで焼いてみた~い♪
そんな憧れの食パンですが、先日生徒さんから写真付きで質問がきました。
「食パンの側面がへこんでしまったのですが、何か原因があるのでしょうか?」
実は、食パンの側面がへこむのは食パンを作るときのよくある失敗のひとつなんです。
食パンの側面がへこんでしまうのはなぜ?
時間をかけて作った食パンが、残念なことに型から出してしばらくしたらこんな風に側面がへこんでしまうことがあります。
このように食パンの側面がへこむことを「ケーブイン」「腰折れ」といいます。
ではなぜ、食パンの側面がへこんでしまうのでしょうか。
食パンのように大きなパンは内部が完全に冷めるまでに時間がかかりますね。
パンが冷めるまでの間、パンの中の蒸気はクラスト(外側)を通過して出ていくのですが、そのときにクラストがやわらかく湿ります。
湿ってしまったことでパン全体を支えられないと、側面が曲がってしまうのです。
だから、小さいパンに比べて、食パンのような大きいパンは中の蒸気がクラストを通過するのに時間がかかる分、クラストがやわらかくなりやすいということなんです。
これが、ケーブイン・腰折れの直接的な原因になります。
ケーブイン・腰折れがおきる3つのパターン
次に、どのようなときにケーブイン・腰折れが起きるのかパターンをみていきましょう。
よく言われる3つのパターンをご紹介します。
1.焼成不足
オーブンの温度が低い、または焼成時間が短いと焼成不足につながります。
外側は色付きがよかったとしても、中までしっかり焼けていないと内部に水分がたくさん残ってしまいます。
その結果、多くの水分が蒸気となってクラストを通過するためにケーブイン・腰折れがおきてしまうのです。
「レシピ通りの焼成温度・焼き時間なのに・・・」
と思われる場合もあるかもしれませんが、
オーブンの大きさや火力によって焼き加減は大きく変わります。
例えば小型のオーブンの場合、パン生地を入れるのにオーブンの蓋を開けた時に一気に温度が下がってしまうことがあります。
そうすると、設定温度はレシピ通りかもしれませんが実際には低い温度で焼いていることになります。
また、庫内が狭く高さがないとパンが焦げやすいため高温にできないこともあるでしょう。
上部が焦げてきたために設定時間を待たずにオーブンからパンを出してしまうこともあるかもしれません。
もし思い当たる節がありましたら、しっかり焼き込むための対策が必要です。
対策1:予熱のときから天板を入れる
⇒天板の熱が型を伝ってパンが早く熱くなることで、しっかり焼けます。
対策2:早い段階で焦げないような温度を見極める
それでも「早く色付いてしまった」と思ったら、アルミホイルをかけるなど工夫してみてください。
ただし、焼成開始から最低15分経ってから(=パンの骨格ができている状態になっている)にします。
まだパンの骨格ができていないのにオーブンを開けると、庫内に冷たい空気が入り込みパンが急激に冷やされ、これがケーブインを引き起こす原因となってしまいます。
対策3:具材を入れすぎない
上の食パンは「オニオンチーズブレッド」です。中には生の玉ねぎを入れています。
うまく焼けるとこうなるのですが、玉ねぎを入れすぎると、、、
こんな風にケーブイン・腰折れしてしまいました(^_^;)
玉ねぎがいっぱい入っていたらおいしそうだということで入れすぎてしまうと、玉ねぎは水分が多いのでこのようにへこんでしまうのです。水分の多い具材は欲張って入れすぎてはいけませんね。
ちなみに、1斤の食パンなら焼き時間は25分程度必要です。
教室で使っているスリム食パン型でも1本なら20分、2本以上焼くなら25分以上かかりますので目安にしてみてくださいね。
2.生地が柔らかすぎる
やわらかい生地の食パンにするために水分量を多くしすぎてしまうと、内部の水分が抜けきらずにケーブイン・腰折れが起きることがあります。
または、こね不足が原因でグルテンがしっかりとできていない場合も、パン全体を支えきれずケーブイン・腰折れしてしまうことも。
水分は多すぎないように。そしてしっかりとこねる。
これが食パン作りでは大切なポイントとなってきます。
3.型に対して生地量が少なすぎる
生地量が少なすぎると、型に対して適正の大きさまで(蓋をするなら型の約8割、蓋をしないで焼くなら型から1cmほど生地が出るまで)発酵させると、過発酵になってしまいます。
過発酵の生地はグルテンの力が弱まっているので、パン生地を支えることができないためにケーブイン・腰折れにつながります。
焼成直後に絶対にしなければならないこと
パン屋さんで食パンが焼きあがると、型をバンバン!と台に打ち付けているのを見ることはありませんか?
焼けてすぐにパン生地に衝撃(ショック)を与えることで、中の蒸気をできるだけ早く逃がしているのです。
家庭では叩きつける場所がないかもしれませんね。
布巾やタオルを敷くなど工夫してドンと上から型ごと落としたり叩きつけ、型から素早く出してください。
これでいくらかケーブイン・腰折れは防げるかと思います。
以上ですが、ご参考になればうれしいです♪
食パンに関するそのほかの記事はこちら↓
>>食パンの型のサイズを変更するときの小麦粉量の計算方法(型生地比容積)
>>【食パン型】使い始めの空焼きの回数は?